公益財団法人 とよなか国際交流協会

リレーコラム(2015年度~)

2016年04月 アペカカカ!(第6回)

十田麻衣(とだまい)

2年間の任期も残すところ3か月ほどになりました。気持ちがだいぶ日本に向いてしまっている…というのが本音です。しかし、活動先の学校に行けば、あれもできていない!これもできていない!…と、やり残していることがたくさん見つかってしまい、これで帰国できるのか?!とも思ってしまい…なんとも複雑な心境です。
 1年9か月ガーナで暮らして未だにガーナ人に対して心底がっかりして許せないことがふたつあります。それは、わたしたちを見ると『白人』と呼びかけてくること、中国(人)を馬鹿にしたような呼び方で『チャイナ』や『チンチョンチャン』と言うことです。
 わたしたち外国人に話しかけたくて多くのガーナ人は『白人』と呼んでいますが、他にも呼び方はありますよね?呼び止める前にすべき(と、思われる)こともありますよね?個人の意見としては、欧米人だろうがアジア人だろうが誰に声をかけるにしても、まずは挨拶をすべきだと思います。いつでも、どこでも、知らない人に対してでも「おはよう」「こんにちは」「お疲れさま」「元気?」と交わすのはガーナでは当たり前のことです。それなのに、なぜ外国人に対しては第一声が『白人』になってしまうのでしょうか。『白人』以外にも呼び方はあるはずです。ガーナならば、女性に対してならば『シスター』『マダム』、対男性には『ブラザー』『サー』などが考えられます。
 ガーナにはたくさんの中国人が暮らしています。国際機関で働く人、ビジネスをしている人、ガーナで暮らす中国人のために中華料理店や食材店を営む人…さまざまです。またバイクやキッチン用品、洋服、靴など、日常生活で“Made in China”の物に触れないことはなく、ガーナ国内に走る多くの幹線道路は中国の支援でつくられており、ガーナは中国と密接な関係にあります。しかしながら、中国(人)に対して反感を持つガーナ人も少なくはなく、中国(人)をさげすんでいる様子がしばしば伺えます。ところが、ガーナ人の生活は先に述べたように中国なしでは成り立ち得ないのが実情です。中国(人)に対してそのような態度でいいのだろうか…。わたしたちアジア出身の人を見て、日本人、中国人あるいは韓国人なのか、ガーナ人が見分けられないことは当然だと思います。なぜなら、わたしたちだってガーナ人なのか、お隣のトーゴの人なのか、北のブルキナファソの人なのか…見た目ではさっぱり区別がつかないからです。そうだとしても、中国人を馬鹿にしたように『チンチョンチャン』と呼びかけたり、中国語を変な風にマネしたりして呼ぶ必要はないと思います。中国人と呼ばれることに腹が立つのではなく、中国あるいはほかの国や地域の出身の人を見下すような態度にがっかりするのです。
 みなさんは、日本で暮らす外国人に対してどのような態度で接していますか?
 みなさんは、日本で外国人を見かけ、声をかけたいときに、なんと言って声をかけますか?
 さて、わたしはガーナを離れる前にこの現状を誰にどうやって訴えかけようかな…。

十田麻衣(とだまい)

元協会職員の十田麻衣さんが、青年海外協力隊として2014年7月より西アフリカの国、ガーナで活動しています。十田さんからの驚き、発見、感動たっぷりの便りをどうぞ!