公益財団法人 とよなか国際交流協会

リレーコラム(2015年度~)

2024年5月 en glad laks (エン グラ ラクス)(第11回)

岩根あずさ(いわね あずさ)

Hei hei! みなさんこんにちは。オスロもようやく春の気配を感じ始めています。私は「今年こそは!」と覚悟を決めて、一月から語学学校に通い始めました。福祉が充実しているイメージのある北欧諸国ですが、ノルウェーでは移民への語学教育は全ての人に保障されているわけではありません。配偶者やパートナーがノルウェー人であったり、難民としてノルウェーにやってきた方は政府が決めた時間数のノルウェー語学校へいく権利がありますが、私の場合だと授業料を払って語学学校にいく必要があります。語学学校の費用も安い金額ではないので、語学を勉強し始めるまでのハードルも高いのが実情です。
 ノルウェー語を勉強してみると、ノルウェー社会を反映しているなという表現を学ぶことができます。その一つが、「ボーナスファミリー」という言葉です。子どもがいるカップルが離婚して、どちらかの親が再婚をしたり、新しいパートナーができたときに、親の再婚相手のことや親の新しいパートナーを「ボーナスファミリー」と呼ぶそうです。さらに、親の再婚相手に連れ子がいる場合、「ボーナス兄弟」「ボーナス姉妹」というような呼び方もあるそうです。離婚率が比較的高いノルウェーですが、離婚したカップルに子どもがいる場合、共同親権や共同養育が認められているため、毎週決まった曜日をどちらかの親の家で過ごし、別の曜日はもう片方の親の家で過ごすという方法をとっている家庭も少なくありません。親の離婚と再婚で新しい家族ができたときに、それを「ボーナス」と捉えて、家族が増える喜びに言い換える「ボーナスファミリー」という表現が浸透していることが面白いなあと思いました。
 また、語学を勉強することで文化や考え方への理解が深まるということも実感しています。特に、慣用句はそれぞれの文化の表現が反映されているような気がします。例えば、「尖った肘の持ち主」という言葉は自分勝手な人という意味で、尖った肘で人混みをかき分けて自分のためだけに進んでいく様子からできた表現なのだそうです。ノルウェー語は英語と似ている部分も多いのですが、勉強してみるとノルウェー語の良さや文化に触れられる気がしています。

岩根あずさ(いわね あずさ)

子どもサポート事業(学習支援サンプレイス)でボランティアをしていた岩根あずささんが、2020年7月よりノルウェーで生活されています。日本から遠く離れた地での生活や現地の様子について、あずささんにレポートしていただきます!