公益財団法人とよなか国際交流協会

リレーコラム(2015年度~)

2026年1月 Ska vi fika? (スカ ヴィ フィーカ?)(最終回)

葉上 千紘 (ようじょう ちひろ)

外国からスウェーデンに新しくやってきた人々と出会って』


 


 Hej (こんにちは)!今回はスウェーデンに暮らす外国生まれの人々の姿をお伝えできればと思います。外国生まれの方々が多く暮らす地域のスーパーには中東を中心に世界各国の食材が並び、レジではアラビア語で会話をする人々の姿があります。夕方、近所の教会ではスウェーデン語の練習をするスウェーデン語カフェが開かれます。カフェに集うのは、仕事終わりの人、子育て中の人、就職活動中の人、留学生などです。私の参加するカフェの様子を見ていると、言語を一生懸命勉強する場所というよりも、スウェーデンにきて数年〜数ヶ月の人々が語学を学びながら、日常の小さな発見や言語のつまずきを共有できるコミュニティとなっているように思います。


 スウェーデンで出会った外国生まれの人々と話していると、新しい国で生活する不安や苦労が垣間見えます。例えば、移民・難民受け入れ政策の厳格化によってスウェーデンで暮らせなくなるのではないかと心配する人々に出会います。また、子どもを持つ親たちの間では、スウェーデンの教育・児童福祉サービスに対する疑問や不安が多く見られます。一方、移民・難民が多く暮らす地域で教育・福祉に携わる専門職たちからは、新しくスウェーデンに来た人々と信頼関係を気づき、システムを安心して使ってもらうために苦心する様子が伝わってきます。


 私がスウェーデンでの暮らしの中で最も感じるのは、外国から来てまもない人々の不安に耳を傾け、生活に欠かせない社会システムを解説し、一緒に親身に解決策を考えてくれる人材の必要性です。長くスウェーデンで暮らす人々の社会と新しく外国からやってきた人々のコミュニティの橋渡しを誰が担いうるのか。これは教育・福祉・多文化共生に携わる人々だけで解決できる課題ではありません。そして、スウェーデンだけの課題でもないように思います。皆さんには何ができるでしょうか?私はまだ答えが見えずにいます。


 

葉上 千紘 (ようじょう ちひろ)

協会事業(こども母語・サンプレイスのコーディネーター、マイクロアグレッション啓発パンフレット作成チーム)に参加していた葉上千紘さんが、2025年4月から研究活動のためにスウェーデンに留学をしています。現地から留学体験談をお届けします!